《スーパーオーガニズム》ヴォーカル・オロノ。「全部自分たちだけでやりたいんです」
CULTURE

interview : Superorganism 《スーパーオーガニズム》ヴォーカル・オロノ。「全部自分たちだけでやりたいんです」

サイケデリックなインディー・ポップからファンキーに弾けるようなエレクトロニカをごちゃ混ぜにする“ポスト・エヴリシング”とでも形容すべき大胆不敵な美学が支持を集め、あっという間に世界中の音楽ファンを魅了した《スーパーオーガニズム》。フジロックフェスティバル出演のため来日したヴォーカルのオロノにインタビュー。

photograph
Ozaki Taito
interview & text
Murao Yasuo

Superorganism スーパーオーガニズム

現在はオロノ (Orono)、ハリー (Harry)、トゥーカン (Tucan)、ビー (B)、ソウル (Soul) を中心に活動。2017年にスーパーオーガニズムがシーンに登場すると、サイケデリックなインディー・ポップからファンキーな弾けるようなエレクトロニカをごちゃ混ぜにする"ポスト・エヴリシング”とでも形容すべき大胆不敵な美学が、フランク・オーシャンやヴァンパイア・ウィークエンド、サヴェージズのジェニー・べス、ゴリラズといったアーティストから支持を集め、あっという間に世界中の音楽ファンを魅了。

メンバーが一緒にいろんなことを体験したことが新作に影響を与えていると思います

 デビュー・アルバムがフランク・オーシャンやヴァンパイア・ウィークエンドによって絶賛されたことで、一躍注目を集めたスーパーオーガニズム。彼らは謎めいた生き物みたいなバンドだ。1曲のなかでいろんな音や声が飛び交い、曲は様々な表情を見せる。ニュージーランド、オーストラリア、イギリス、韓国、日本など、世界各地からメンバーが集まっていることも、彼らのユニークなサウンドを生み出す要因になっているのかもしれない。そんな中日本から参加しているのがヴォーカルのオロノだ。

 スーパーオーガニズムが結成される前、一部のメンバーが参加していたバンドが来日した際に、ライヴを観に行ったオロノは彼らと仲良くなり、ツアーが終わってからもオンラインでやりとりをしていた。そして、スーパーオーガニズムが結成された時にメンバーとして誘われる。当初、オロノはリモートでバンドに参加していたが、その後、ロンドンに移り住んでライヴ活動も経験。メンバーと一緒に過ごした時間や経験が新作『ワールド・ワイド・ポップ』に反映されていると彼女は言う。

 「2017年の夏にロンドンに引っ越して、他のメンバーと2年くらい一緒に暮らしたんです。その2年間はずっとツアーをしていて、ツアー先や家にいる時にレコーディングもしました。メンバーが一緒にいろんなことを体験したことが新作に影響を与えていると思います。みんな他のメンバーのアイデアに対してはウェルカムでコラボレートすることを楽しんでいる。自分のアイデアを無理やり通そうとする人はいないのですごくやりやすいですね」

「みんな友達だから一緒にやるのは自然なことなんです。」

 新作には多彩なミュージシャンが参加。オルタナ・ロックを代表するペイヴメントのスティーヴ・マルクマス、フランスのシンガー、ピ・ジャ・マ。日本のガールズ・バンド、CHAIなどゲストも国際色豊かだが、そのなかには以前コラボレートした星野源もいる。

 「源の「Same Thing」に参加した時に、〈いま、こういう曲を作ってるんだけど歌わない?〉って誘って、その場で録音したんです。他のゲストもそんな感じで、ツアーをしている時とか、何かのついでに歌ってもらいました。わざわざスタジオでレコーディングしたりはしない。みんな友達だから一緒にやるのは自然なことなんです。全然知らない人に参加してもらおうとは思わないですね。だからプロデューサーも入れたくないし、レコーディングからミキシングまで全部自分たちだけでやりたいんです」

「メンバーが好きなことをやれるように、バンドを成功させようと頑張っている。」

 あくまでも自然体で、自分たちのやりたい音楽を手作りで作り上げるスーパーオーガニズム。いきなりブレイクしたことがストレスになって辛かった時期もあったそうだが、いま彼女は自分の未来をしっかりと見据えている。

「ひとつのことだけをずっとやっていたら、それが嫌になった時に逃げ場がなくなるじゃないですか。だから音楽以外のことにも興味を持つようにしようと思って、最近は絵を描いたり、動画を作ったりすることにシリアスに向き合っています。バンドに頼りたくないというか。他のメンバーも同じで、それぞれが好きなことをやれるようにバンドを成功させようと頑張っているんです」

 メンバーそれぞれが成長するための場所。スーパーオーガニズムは、彼らにとって先生のいない学校のような場所なのかもしれない。ものづくりの楽しさが、手作りのアルバムから伝わってくるはずだ。

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