気になるデザイナーと服の話。

Francesco Risso
[フランチェスコ・リッソ]

そのストーリー性溢れるコレクションは、世界中のアディクトから絶賛された。《マルニ》クリエイティブディレクターの、その溢れ出る才能にフォーカス。

 


 

「《マルニ》はミステリーボックスであり、その中には無限の可能性が秘められている」

 

    2018-19 AW collection
    “Field notes”
    異国情緒漂うルックで境界線のない旅を象徴したコレクション。40 年代のミリタリーファッションをベースとしたワードローブや、ブリティッシュなムードのツイードスーツなどオーセンティックなアイテムをベースにしながらも、フランク・ナビンのポップなイラストがランダムに配された遊び心溢れたピース。ジオメトリックなテキスタイルも健在だ。オーバーサイズの展開も特徴。

 

【Q1】
《マルニ》のクリエイティブ・ディレクターに就任した時を覚えていますか?

私は《マルニ》の、常識の枠を超えた考え方や異なるものの見方がずっと大好きでした。そのため、このような大きな挑戦を引き受けられることをとても光栄に思ったのと、このブランドの無限の可能性を探求できることに興奮を覚えました。

 

【Q2】
新しいコレクションを作る上で、まず何からスタートしますか?

私はいつも“デザイン フリー ゾーン”から考えることを始めます。毎回異なるアプローチやソースを表現することができ、それが私がインスパイアされる信念です。

 

【Q3】
数多くの人々があなたのクリエイションに注目しています。

自分が生み出した物を誰かが身に着けてくれているのを見ると、この上ない喜びを感じます。自分が思いもしなかったような解釈がされている時は、特にそう感じます。

 

【Q4】
あなたが作ったコレクションには、ストーリーがあります。そしてノスタルジックな風景が目に浮かんで来るようです。コレクションを作る上で、大切に考えていることはなんですか?

ノスタルジックというか、私は物事の本質にたどり着くようなアイディアに興味があります。洋服を構築するための良い方法を取り戻したり、自分自身の解釈をメンズワードローブのトラディショナルなピースに加えたりします。この解釈は個人的な経験はもちろん、今私たちが生きている現代から形作られています。このコレクションでは、影響力をもつ人々が、伝統の新しい見方においてタッグを組んでいます。なぜならば、これが今まさに私たちが生きている世界だからです。私たちは玄関を出ればすぐ世界と繋がり、常に世界中の情報やさまざまな人々から刺激を受けています。このような世界と関わらず、影響を受けないことは不可能です。

 

    STRIPE SHIRT
    59000yen

 

【Q5】
毎日どのように、その日身につける服を決めるのでしょうか?

着替える時の気分をベースに、直観的に選びます。私は、あらかじめ想定されたように着るよりも、異なるアイディアをミックスしたり、本来の使い方とは違う着方をすることが好きです。

 

【Q6】
子供の頃、最も憶えている一番印象的な記憶はどんなものですか?

子供の時の自宅でのランチについて覚えています。両親にはそれぞれ以前に持った家族がいて、その全員が1つの大きな家で生活していました。さらに、いつも誰かを招き入れていました。これは私の父が家族以外の人、彼らの話や人生にとても興味があったからです。ですから、ランチの時にはいつも20~25人程の人がいました。そこで皆話をしたり、人生の時間を一緒に過ごしていました。こうして、人の話を聞くことや自分のビジョンを膨らませることが出来ました。そしていつも人に囲まれていることは、自分に対しても心地良く感じること、自分の意見を発展させることに役立ちました。大勢の中で存在感を示すために。

 

【Q7】
なぜあなたは、デザイナーになったのだと思いますか?

ファッションデザイナーになりたいと、いつも思っていました。私は小さい頃、姉たちの洋服の中で遊んでいたり、袖を切ったり形を変えたりしていたので、「ワードローブ・ウイルス(洋服のウイルス)」と呼ばれていました。一つ一つのピースに全身全霊をかけていますし、見る方が好きか嫌いかはさておき、私のすべての努力と伝えたいビジョンが詰まっているので、みなさんに私の作品を気に入っていただけると嬉しいです。

 

    2WAY KNAPSACK
    32000yen

 

【Q8】
メンズのコレクションと、レディースのコレクションを作っている時に、どちらが楽しいですか?

大概、コレクションの裏側にあるプロセスを楽しんでいます。例えば、アイディアについて深く考えること、そのアイディアのありとあらゆる角度からの検証、チームと共に己に立ち向かい、その進化の過程を見つめながら具現化していきます。

 

【Q9】
気になっているミュージシャンはいますか?

好きなテイストはいろいろありますが、自分が生きている瞬間や興味を持っていることをベースに様々なジャンルの音楽を聴きます。ベンジャミン・クレメンティンが好きです。説明不要なほど秀逸です。そして、もうすぐニューアルバムが発売となるアルミナム・グループのジョンとフランク・ナヴィン氏も。

 

【Q10】
映画がとてもお好きだとお聞きしました。

私の好きな監督はロマン・ポランスキー、そして最も好きな彼の映画は「Repulsion(邦題:反撥)」です。ポランスキー監督のビジョンについて、好きな点がたくさんあります。例えば、忌まわしい状況をとても美しく描写するところです。

 

【Q11】
他のブランドのコレクションは気になりますか?

膨大なリサーチをします。他の人の考えを知ることはデザイナーとして不可欠だと考えています。さまざまなブランドをチェックしていますが、川久保玲氏は常にインスピレーションの源です。

 

【Q12】
最新のコレクションで、最も気に入っているピースはありますか?

フランク・ナビン氏による動物や想像の物体のプリントをあしらった洋服がとても好きです。このコレクションを別のレベルに持っていってくれる、空想的な要素のミックスになっています。

 

 

【Q13】
リラックスの方法を教えてください。

テラスでくつろいでいる時です。自然のままのジャングルかのように樺の木、洋ナシの木、イチジク、ユーフォビア(植物)があります。ミラノのアンテナ、ワイヤーケーブル、グレーと自宅の小さな屋根の上にある、その他の自然の色彩、これらを生い茂った草が迷路のように覆っています。まるでベルリン、バンコク、ミラノやプロバンスが交錯したような雰囲気。ここで私は瞑想し、再生しています。

 

【Q14】
好きなショップはどこですか?

全世界の《マルニ》ショップはすばらしい。新たな店舗をオープンすることはコレクションを強化し、ブランドの美学を伝えるのに最適な環境だと思います。これとは別に、特に愛着を持っている小さなショップがあります。“Pescetto”(ペシェット)という名前のショップで、ジェノバにある歴史あるメンズウェア店です。

 

    DENIM PANTS
    55000yen

 

【Q15】
日本に好きなブランドはありますか?

川久保玲氏が私のミューズでありメンターです。真に手本となる人物です。

 

【Q16】
《マルニ》は日本のファッション好きの人々から、とても愛されているブランドです。

日本に来た時、個人個人のスタイルのコンセプトに特に感銘を受けました。プロポーションのセンス、巧妙なカラーミックス、適量の意外性、そして各々が持っている個人的な洋服の解釈。これらの全てが《マルニ》のコアとなる美学とフィロソフィーなので、おそらくこれが理由だと思います。

 

【Q17】
あなたが考える《マルニ》の色とはなんだと思いますか?

全てです!

 

【Q18】
好きなお酒はなんですか?

時々、特にストレスを感じている時にですが、シャンパン1杯… か2杯! を楽しみます。

 

【Q19】
好きな本はありますか?

いつもジョン・ウォーターズ著の“Role Models(訳:ロールモデル)”に立ち戻ります。啓蒙的で想像をかきたててくれます。

 

    CROCHET SHIRT
    84000yen

 

【Q20】
あなたにとって、《マルニ》とはなんだと思いますか?またあなたにとっての“ファッション”とはなんだと思いますか?

《マルニ》は、ミステリーボックス。そしてその中には無限の可能性。ファッションはコミュニケーションの1つの方法、私たち自身を表現する1つの方法です。私たちの装いは、パーソナリティーや感情、どのようにこの世界を見ているかということを雄弁に語ります。

 

フランチェスコ・リッソ

フランチェスコ・リッソ 《マルニ》クリエイティブディレクター《アレッサンドロ・デラクア》、《マーロ》などで経験を積んだ後、2008年より《プラダ》ウィメンズコレクションとスぺシャルプロジェクトを担当。2017年秋冬より《マルニ》コレクションを手掛ける。

 


 

お問い合わせ先:マルニジャパン tel:03-6416-1024

CLUÉL homme vol.28掲載

  • interview & text:Marutani Naofumi