FEATURE PEOPLE :
コートニー・バーネット

気になるあの人に会いに行く

 

『「自分とは反対側にいる人達にメッセージを届けたい』
― コートニー・バーネット/シンガーソングライター

 

コートニー・バーネット

1988年、豪生まれ。2012年、自身のレーベルMilK! Recordsを設立し、デビューEPをリリース。続くセカンドEPは、ピッチフォークでベスト・ニュー・トラックを獲得するなど彼女の音楽が一躍世界中に広まった。デビュー・アルバム『サムタイムス・アイ・シット・アンド・シンク、サムタイムス・アイ・ジャスト・シット』を2015年3月にリリース。グラミー賞「最優秀新人賞」にノミネート、ブリット・アウォードにて「最優秀インターナショナル女性ソロ・アーティスト賞」を受賞する等、世界的大ブレイクを果たし、名実元にその年を代表する作品となった。

 

イギリスのグラミー賞ともいわれるブリット・アワードで、インターナショナル女性ソロ・アーティスト賞を受賞。さらにグラミー賞で最優秀新人賞にノミネートされるなど、ファースト・アルバムで大きな注目を集めたオーストラリア出身のシンガー・ソングライター、コートニー・バーネット。待望の新作『テル・ミー・ハウ・ユー・リアリー・フィール』では、前作以上にヘヴィーで骨太なバンド・サウンドが響き渡っている。アルバムに取りかかった時の心境を、彼女はこんな風に振り返った。

 

「自分を取り巻く社会を見まわした時、そこは怒りと悲しみに満ちていて暗い気持ちになったの。そして、そこで感じたことを、どんな風に歌にしたらいいか考えた。ただ不満を言っているだけのアルバムにはしたくない。これまではそう思って悩んでいたけど、今回は思い切ってメッセージを伝えることにしたの。前作を発表した後、世界中を旅して、いろんな人と出会って刺激を受けたから、そんな気持ちになれたんだと思う」

 

バンド・メンバーは前作同様、地元の仲間達だが、彼女が弾くギターは前作以上に存在感を発揮。バンド・サウンドの核になっているのも新作の特徴だ。
「今回のアルバムは、これまでよりもダーティでタフなサウンドにしたかったの。だからギターをリード楽器として意識して、できるだけ曲ごとにいろんな音色を出そうと思った。いつもはやらないコードを試してみたり、ギターペダルをいじって奇妙なノイズを入れてみたりしてね」

 

    now on sale
    『Tell Me How You Really Feel』
    Courtney Barnett

 

ゲストにはオルタナ・ロックのレジェンド、ブリーダーズのキム・ディールと妹のケリー・ディールが参加。今年、彼女達が10年振りに発表した新作『オール・ナーブ』にコートニーが参加したお礼だったとか。「二人はすごく親切で素敵な人達。とくにキムは私のことをすごく応援してくれて嬉しかった」と彼女は感謝するが、ディール姉妹は「クリッピング・セルフダウト・アンド・ア・ジェネラル・ラック・オブ・コンフィデンス」でアルバム・タイトルのフレーズをコーラスで歌っている。果たして、このフレーズが意味することとは?

 

「相手のことをちゃんと理解してコミユニケーションするのは難しい。自分が相手に対して正直でいても、拒否されたらどうしようっていう不安になるし、私自身、そう思ってしまうネガティヴなところがあった。だから、〈Tell Me How You Really Feel(あなたが本当に思っていることを教えて)〉って問いかけるのは、相手をちゃんと理解するための最初の小さなステップだと思う」

 

自分の手でレーベルを立ち上げ作品を発表し、同性愛者であることをオープンにするなど、音楽と誠実に向き合ってきたコートニー。アルバムに収録された曲には暴力や差別をテーマにしたものがあるが、「自分とは反対側にいる人達にメッセージを届けたい」と彼女は言う。いまコートニーは音楽を通じて世界と向き合い、リスナーのひとりひとりに問いかけているのだ。「あなたが本当に思っていることを教えて」と。

 


 

CLUÉL homme vol.28掲載

  • interview & text:Murao Yasuo