RECOMMEND BOOKS by POST

東京・恵比寿にあるアートブックの専門店《ポスト》の選書による、2018年5月のおすすめブックガイド。

 


 

今月のテーマ
「Unique Typology」

共通の性質・特徴を持つものをひとくくりにまとめる「類型学(タイポロジー)」という分類方法は、美術や写真の領域でもひとつの系譜を成すほどに派生してきましたが、なかでもベッヒャー夫妻に端を発するドイツ現代写真の潮流がまさにこの代表格です。一見すると関連性に乏しいと思われるようなものも、ひとつの軸をもとに寄せ集めてみると、圧倒的な訴求力が備わることがあります。こうした着眼点は、ひとつの企画を構成するうえで重要な視座となることでしょう。今回は、ある一定のテーマのもとに編成されるユニークな類型学を展開する3冊をご紹介します。

 


 

01.『Money

  • Prill Vieceli Cremers
  • 発行:Edition Patrick Frey
  • ¥6200

ストレートなタイトルのとおり、世界中の紙幣をまとめた本。政治的な主題、歴史的な節目、著名な人物、ステータス・シンボル、ランドスケープ…国が違えばそのデザインや描かれるモチーフも様々だが、いずれも各国が抱える背景や価値観を暗に示していることには大差ないようだ。ごく小ぶりの宣伝ポスターのようなものだと捉えてみたら、何か新しいモノの見方が得られるかもしれない。
 


 

02.『DIE WANDLUNGEN

  • David Weiss
  • 発行:Edition Patrick Frey
  • ¥9500

スイス出身のアーティスト・デュオ、フィッシュリ&ヴァイスのひとり、ダヴィッド・ヴァイスによるドローイング作品集。1975年に当時付き合っていたガールフレンドとの破局を迎えた彼は、傷心のなかモロッコ・マラケシュへと旅立った。道中でなんとなく思いついたものを描き、自然発生的に進化させていった本作は、その後4年ほど続いたという。制約に捉われない自由な遊び心がちりばめられている。


 

03.『CONTRABAND

  • Taryn Simon
  • 発行:Hatje Cantz
  • ¥7600

写真・テキスト・グラフィックデザインを巧みに組み合わせて作品を成すタリン・サイモンの実践は、ある関心事に対する広範にわたる入念なリサーチをもとに、カテゴリー化や分類という形態へと導かれる。空港で旅客から留置・押収された品物や、国外から米国に入国する郵便物を継続的に撮影した本作では、豚、シリング、ボトックス、ヘロイン、ショウガの根、鹿の舌…奇想天外な展開に圧倒させられる。

 

shop data

POST
add:東京都渋谷区恵比寿南2-10-3 1F
open:12:00-20:00(月休)
tel:03-3713-8670

    東京・恵比寿にあるアートブックの専門店。出版社という括りで本を特集し、定期的に扱っている本が全て入れ 代わるスペースを軸とし、普段書店では見えにくい「出版社」の世界観も感じながら本に触れることができる。このほかにも、造本やデザインの面も優れた、良質な海外のアートブックが並んでいる。店内奥のスペースでは、POST企画による展覧会やブックローンチイベントを定期的に開催。

【紹介者】
錦 多希子
2012年よりPOSTに勤務。店頭対応の傍ら、POSTのウェブサイト内New Arrivalsページで新着本の紹介を更新する。
http://post-books.info/


CLUÉL homme vol.27掲載