RECOMMEND BOOKS by POST

東京・恵比寿にあるアートブックの専門店《ポスト》の選書による、2017年11月のおすすめブックガイド。

 


 

今月のテーマ
「Early Works」

振り返れば、最近ある作家の個展を観に行くと、往々にして初期作品に心を奪われていることに気付きました。そこには創作に向けられた初期衝動、そして表現者としての感性の源が存分に詰まっています。作家としての始点に立ち戻ることが、ひいては作家というひとりの人間を理解する一歩につながるからなのでしょう。ひとによっては次第に作風は変化していくこともあるだろうけれど、核となる本質はそう変わらないもののように思います。今回は、世界的に名を馳せた各界の巨匠たちの原点を振り返りながら、改めてその魅力を感じてもらえたら嬉しいです。

 


 

01.『荒木経惟 センチメンタルな旅 1971- 2017-

  • 荒木経惟 東京都写真美術館監修
  • 発行:HeHe
  • ¥2900

荒木経惟が亡き妻・陽子との新婚旅行で撮影した「センチメンタルな旅」は、ほどなくして私家本として出版された。ごく個人的な情景を写し出す「私写真」という系譜を語るうえで本作は欠かすことができないが、それ以上に、ふたり(+愛猫チロ)の暮らしの礎には何事にも代えがたい深い愛情があり、それがほとばしるように伝わってくる。たわいもない日常が続いていくことの尊さを感じずにはいられない。
 


 

02.『INTERIEURS

  • Thomas Ruff
  • 発行:Buchhandlung Walther König
  • ¥7400

昨今、東京・金沢の美術館で大規模な個展が開催されたトーマス・ルフは、今でこそ既存の写真アーカイブを引用したコンセプチュアルな作風で知られるが、当初は自らシャッターを切っていた。彼の身近な人々が暮らす室内空間を大型カメラで撮影した本作は、デュッセルドルフ芸術アカデミー在学中に手がけたもの。熱量を削ぎ落としてごく客観的にアウトプットする方向性がすでに萌芽している。


 

03.『EARLY HAND-PAINTED WORKS

  • Andy Warhol
  • 発行:Gagosian
  • ¥12000

ポップ・アートの第一人者、アンディ・ウォーホルがシルクスクリーンで作品制作をする前にあたる1960年代初頭、ハンドペインティングで作品を制作していたのはご存知だろうか?印刷したイメージをトレーシングペーパーへ移し、キャンバスに描いていく実験的な作品群には、大衆文化から飛び出したキャンベル缶やコカ・コーラのボトルといった彼の作品にとって象徴的なモチーフがすでに選ばれている。

 

shop data

POST
add:東京都渋谷区恵比寿南2-10-3 1F
open:12:00-20:00(月休)
tel:03-3713-8670

    東京・恵比寿にあるアートブックの専門店。出版社という括りで本を特集し、定期的に扱っている本が全て入れ 代わるスペースを軸とし、普段書店では見えにくい「出版社」の世界観も感じながら本に触れることができる。このほかにも、造本やデザインの面も優れた、良質な海外のアートブックが並んでいる。店内奥のスペースでは、POST企画による展覧会やブックローンチイベントを定期的に開催。

【紹介者】
錦 多希子
2012年よりPOSTに勤務。店頭対応の傍ら、POSTのウェブサイト内New Arrivalsページで新着本の紹介を更新する。
http://post-books.info/


CLUÉL homme vol.22掲載