RECOMMEND BOOKS by POST

東京・恵比寿にあるアートブックの専門店《ポスト》の選書による、2017年7月のおすすめブックガイド。


今月のテーマ
「Paper possibility」

電子書籍が一般的に浸透した昨今、紙という物質性に着目し創意工夫を添えて表現されたアートブックは、物理的な側面から作品の説得力を補強するばかりか、書籍という形態をした表現の場として独自の位置を確立しています。コンテンツのあるべき姿に寄り添った紙が使われた本。作品のコンセプトを体現するために、意図して選定された紙を採用した本。印刷技法を使い分けたり紙の表面に加工を施すことによって、触覚的に興味を誘発する本。今回は表現の可能性を押し広げてくれるような紙の活用を実践している3冊をご紹介します。

 

01.In Need Of – Graduation 2016 Design Academy Eindhoven

  • ¥5600

オランダのデザインを語るうえで不可欠なDroogなどを輩出した名門、デザイン・アカデミー・アイントホーフェン。同校の卒業制作集である本書は、2016年の卒業生171名のアートワークを余すことなく収録する。一般的に再現性の低さから書籍には敬遠されがちな新聞紙を起用しているが、これは新聞のもつ速報性を彷彿させ、まるで彼らの潜在的な才能を暗に訴求しているようにも思える。

 


02.Shores Like You

  • Scarlett Hooft Graafland
  • ¥6800

オランダを拠点とするスカーレット・フーフト・グラーフランドは、ボリビアのウユニ塩原・アイスランドの人里離れた農舎・ドバイのビーチといった世界各国で、まるで魔法のような光景を撮り収める。鮮やかでシュールな印象とは裏腹に、伝統文化の消滅や自然の脆弱性のようなシリアスなテーマを孕む彼女の写真集には片側のみツヤのある紙が採用され、写真とテキストの反復により軽快なリズムが生まれる。


03.PLAIN PAPER – surface

  • Esther Krop and Philip Stroomberg
  • ¥4400

アムステルダムを拠点とし、紙をこよなく愛するグラフィックデザイナーのエスター・クロップとフィリップ・ストロームバーグは、紙の多面性を追求する雑誌[PLAIN PAPER]を創刊した。「表面」をテーマに掲げた初号では、6名のクリエイターによる入念なアートワークが一枚一枚異なる紙に印刷され、オフセット・シルクスクリーン・点字・活版印刷といった触感のある技法の風合いが際立つ。

 

shop data

POST
add:東京都渋谷区恵比寿南2-10-3 1F
open:12:00 ~ 20:00(月休)
tel:03-3713-8670

    東京・恵比寿にあるアートブックの専門店。出版社という括りで本を特集し、定期的に扱っている本が全て入れ 代わるスペースを軸とし、普段書店では見えにくい「出版社」の世界観も感じながら本に触れることができる。このほかにも、造本やデザインの面も優れた、良質な海外のアートブックが並んでいる。店内奥のスペースでは、POST企画による展覧会やブックローンチイベントを定期的に開催。

【紹介者】
錦 多希子
2012年よりPOSTに勤務。店頭対応の傍ら、POSTのウェブサイト内New Arrivalsページで新着本の紹介を更新する。
http://post-books.info/


CLUÉL homme vol.19掲載