FEATURE PEOPLE : Mike Mills

気になるあの人に会いに行く
15歳の夏、彼女達が僕に教えてくれたこと
マイク・ミルズの自伝的な青春ドラマ

― マイク・ミルズ(映画監督)

NikeやGAPのCM。あるいは、ソニック・ユースやビースティー・ボーイズのアルバムのジャケット・デザインなど、映像作家/グラフィックデザイナーとして幅広い分野で活動してきたマイク・ミルズ。最近では映画監督としても高い評価を得るなかで、最新作『20センチュリー・ウーマン』が完成した。本作は1979年のアメリカ西海岸の街を舞台に、シングルマザーに育てられた15歳の少年、ジェイミーが、母親と2人の女性達に影響を受けながら成長していく物語。ジェイミーの母、ドロシアはミルズの母親がモデルになっているらしい。

「前作(『人生はビギナーズ』)で父親のことを描いたから、今度は母親の映画を作っても良いかな、と思ったんだ。母はとても変わっていて、タフな女性だった。彼女のほかに自分が影響を受けた女性達のことを考えているうちに頭の中で小さな宇宙ができて、そこからストーリーが生まれたんだ」
ジェイミーを見守るのは、ドロシア(アネット・ベニング)、歳上のカメラマン、アビー(グレタ・ガーウィック)、幼馴染みのジュリー(エル・ファニング)で、魅力的な女優達の共演も見どころのひとつ。そんななか、ジェイミーにパンクとフェミニズムを教えるアビーはマイクの姉をモデルにしているらしいが、パンクはミルズの人生に決定的な影響を与えたという。

    ©2016 MODERN PEOPLE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

「パンクは〈自分は何者か?〉というのを、初めて教えてくれた。それまでのメインストリームのカルチャーのなかでは見つけることができなかった、本当の自分に出会えたんだ。だから、音楽は今回の映画のひとつのキャラクターと言ってもいいと思う」
10代の頃はミュージシャンになりたかったというマイク。その夢は叶わなかったが、今もパンク・スピリッツを貫きながら仕事に向き合っている。そんな彼にとって、映画の面白さとはどんなところなのだろう。

 

「映画というのは、すごく大きな規模のプロジェクトなんだ。だから、いろんな楽しみがある。まず、脚本を書く楽しみがあるし、それ以上に撮影をしてるのが好きだ。クルーや役者との共同作業だからね。編集も嫌いじゃない。編集から生まれる魔法みたいなものもすごく面白い。そして、完成した作品を公開してみんなに見てもらえるのも喜びのひとつ。特にヒットした場合はね(笑)。今回は完成するまでに5年もかけて作っているので、良い事も悪い事もいろいろあった。それだけにとても想い出に残る作品になったよ」
パンク、恋愛、スケボー、フェミニズム……。マイク・ミルズの青春が詰まった本作は、観る者に自分のルーツを思い出させてくれるはずだ。

Mike Mills

1966年生まれ。グラフィック・デザインで注目を集め、90年代にはNYのカルチャー・シーンのキーパーソンとなる。映画監督としては、初長編映画『サムサッカー』(05)がサンダンス映画祭やベルリン国際映画祭の賞を受賞。『人生はビギナーズ』(10)では、クリストファー・プラマーがアカデミー賞助演男優賞を受賞するなど作品ごとに高い評価を受けている。

ABOUT MOVIE

『20センチュリー・ウーマン』
6月3日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国公開
配給:ロングライド
URL:http://www.20cw.net

 


  • interview & text:Murao Yasuo
  • photograph:Otsuka Kazuhiko

CLUÉL homme vol.19掲載